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正しい医療情報の入手のために
No008h (2019/03/15)
 この医療教育情報センターは今年末に終了することになりました。このセンターから情報を得ておられた皆さまへ、今後必要な情報をどのように入手したら良いかを提案したいと思います。この情報化時代に沢山の情報の中から正しい情報を選択して、それを活用できることは、優れた主治医・相談役を得たのと同様に大変に幸せなことだと思います。
 1年程前(2018.1.15)に新しい診療理念「日米 がん格差+医療の質とコストの経済学」の題で、アキよしかわという国際医療経済学者の書籍を紹介しました(No 146r)。その中で彼がネットで正しい情報を得るポイントとして3つ挙げています。1)誰が主張しているか、2)いつ発言(掲載)されたものなのか、3)根拠はなにか、の3点です。これは至極当然で正しいと思います。
 インターネットを使って、目的の問題についての情報を集めるため、学術的な雑誌に掲載された論文を検索するには、日本語でも可能なPubMed を打ち込んでサーチを始めると、単にインターネット上に情報を流している記事をほとんど除外できます。後者は例えばサプリメントを販売している会社や特別の治療法を行っている病院そのものやそこから金銭などの授与を受けている人の書いた記事を削除できます。正式な論文は著者毎に、論文内容に関連して利益相反事項は記載されます。論文を書いた人がどんな組織(大学や研究所や学会など)に属しているか、その人やその所属組織が過去にどのような情報を発信しているか、などは重要な着眼点です。
 例えば、基本的には自然軽快するインフルエンザに対する抗インフルエンザ薬は、発症後48時間以降は意味がないし、ハイリスクの患者でない限り有症状期間をせいぜい半日か1日程度短縮する効果しかなく、副作用や耐性のリスクがあります。この抗インフルザ薬のこの冬登場した新薬について製薬会社からの情報によると1回の服用で良いので、従来の薬(5日間服用ないし吸入)より便利であると宣伝され、2018-2019冬期にこの新薬が広く使われました。しかし、専門家によると、症状改善効果は従来の薬とほぼ同等で、周囲への感染リスクは早期に減少するがA型では1割程度の確率でむしろウイルスの排出期間が長引く可能性があり、耐性はA,B型共にあります。値段の違いは、従来の薬の後発品は1360円に対し新薬は4789円で、3割負担の保険でも1000円ほどの差が出てきます。こうした情報の下では新薬を選択する患者は減るでしょう。
 医学をはじめ全ての学問の進歩は加速されていますので、発表(印刷)の時期は重要です。例えば、流通された後に殆ど全てのサプリメントの効果がない事と重要な副作用があることが報告されています。
 根拠は科学的評価に耐えられるもののみが科学雑誌に印刷されるのが原則ですが、全くの偽造データが印刷されることは、Nature・理研・万能細胞の事件でも明らかです。
 正しい情報を入手することは簡単ではありませんが、複数の情報を突き合わせることは常に必要だと思われます。 皆さまが、正しい判断に役立つ健康や疾病などの医療情報を集める選択眼を養われることを祈ります。
SS
     医療情報 | 入手方法 | 選択眼
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